ピル処方・IUS(ミレーナ)
ピル処方・IUS(ミレーナ)
低用量ピルには月経痛や子宮内膜症の治療に使用する低用量/超低用量ピルであるLEP(保険適用)と、避妊目的で使用する低用量ピルであるOC(保険適用外)の2種類があります。
どちらにも同等も効能がありますが、使う目的によって区別されています。
避妊目的で使用する場合、正しく内服すると99%以上の避妊効果があり、他の避妊法よりも効果が確実であることがわかっています。また避妊以外にも月経痛の改善や内膜症の治療や予防、ニキビの改善など様々なメリットがあります。
月経周期によって様々な症状があり、学業・仕事・日常生活に大きく影響を与えてしまいますが、正しく低用量ピルを使用することにより改善できることが多いです。
オンライン処方などで入手しやすくなった低用量ピルですが、女性の体に影響が大きい薬です。正しい知識を得て、目的にあわせて最適な処方を受けることがとても大切です。
飲み忘れることなく正しく内服をしていれば99%以上の避妊効果を得られます。日本で最も一般的な避妊法であるコンドームでは85%です。
また長期間ピルを内服していても内服中止後に妊娠しにくくなるといったことはありません。
低用量ピル(LEP)は月経困難症に対して保険適用です。月経痛(生理痛)の改善が見込まれます。
低用量ピルを内服することにより月経周期が規則的になり、予定が立てやすくなります。また、経血量が多い方は減少する効果も見込まれます。
月経の数日前から始まる不快な症状(吐き気やめまい、むくみ、頭痛、不眠、イライラ、落ち込みなど)は排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が原因のひとつと考えられています。低用量ピルの内服で黄体ホルモンの分泌も抑えられ、不快な症状が軽減します。
ニキビの発症には皮脂の分泌やホルモンのバランスが影響しています。ピルを内服することによりホルモンバランスを整え、皮脂の過剰分泌が抑制されることでニキビの改善につながります。しかし低用量ピルならどれでも効果があるというわけではなく、正しく診察・処方を受けることが重要です。
子宮内膜症は月経痛・不妊症・卵巣がんなどの原因になる病気です。生殖年齢層の10人に1人が子宮内膜症であるとされており、不妊症の方に限ると4人に1人が子宮内膜症を合併していると報告されています。低用量ピルは子宮内膜症の治療に使用されますが、予防にも効果があります。
低用量ピルを内服していると生涯死亡率が減少します。卵巣がんや子宮体がんの発症の原因には排卵や月経が大きく関係しており、低用量ピルを内服することでその発症率を50%程度減少させます。大腸がんに関してもリスクを低減させることがわかっています。
低用量ピルの一般的な副作用として頭痛、吐き気、乳房の張り、不正出血などがありますが、これらの症状は飲みはじめの時期に起こり、服用を続けることで消えていくことがほとんどです。症状が持続する場合は低用量ピルの種類を変更することを提案します。
重篤な副作用のひとつに静脈血栓症がありますが、1万人に3〜9人と非常に稀です。
ミレーナとは、子宮内に装着することで月経痛の改善、月経量の減少、避妊効果を得ることができます。避妊リングと呼ばれることもありますが様々な効能があります。
レボノルゲストレルという女性ホルモンを5年間持続的に放出することで、子宮内膜を薄い状態に維持し、受精卵の着床を防ぎます。さらに子宮の入り口の粘液を変性させ、精子が子宮内に侵入しにくくする作用があります。この2つの作用で非常に高い避妊効果を有します。
また子宮内膜を薄くする作用により、月経痛の改善と月経量の減少が見込まれます。避妊目的ではなく、ひどい月経痛(月経困難症)や月経量が多い(過多月経)場合には健康保険が適用されます。
ミレーナはピルと違って薬を毎日服用する必要がなく、低用量ピルを服用できない方(血栓症のリスクが高い・喫煙している・肥満体型)でも安心して使用することができ、現在約130カ国・延べ3900万人以上の女性が使用しています。
ミレーナは月経困難症、過多月経の改善に有効です。
レボノルゲストレルの放出により、子宮内膜の増殖を防ぎ、子宮内膜を薄い状態で維持することができますので、痛みや炎症の原因を抑制します。
2014年に「月経困難症」「過多月経」の治療として保険適用となっています。
※避妊目的の場合は保険適用になりません。
ミレーナによって避妊をする方も近年増えています。
ピルは毎日の服用が必要ですがそれに比べ、避妊にかける手間や時間は圧倒的に少なくなります。また子宮に局所的に作用するため、低用量ピルを服用できない方(血栓症のリスクが高い・喫煙している・肥満体型)でも使用できます。
性感染症の予防効果はありませんのでコンドームの併用をおすすめします。
※どの避妊方法も100%ではありません。ミレーナ装着時の妊娠率は0.2%と言われています。
主な副作用や装着後に現れる症状は、日数経過により徐々に少なくなり、ほとんどが消失しますが症状や発現率、期間などは患者さまによって異なります。
月経日数延長・月経周期の変化・卵巣の一時的な腫大・月経時期以外の出血・腹痛などがありますが、装着後しばらくの間だけの一時的なことが多いです。
骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、挿入時の子宮穿孔など