月経のお悩み
月経のお悩み
月経痛(生理痛)や月経前のイライラや体調不良、不正出血などの症状があるのは当たり前で、我慢するものと思ってはいないでしょうか。
月経の悩みは、「周期の乱れ、つらい痛み、経血量が多い、月経前のイライラや気分の落ち込み、乳房やおなかの張り」など多くの女性が違った症状のお悩みを抱えています。
元気に過ごすことができる日を増やせるように自分の身体を知ることも大切です。また、ホルモンの分泌不全や治療すべき病気が隠れていること、放置すると不妊症やがんになるものもあります。
日常生活に支障をきたすほどの生理痛や月経前のイライラや情緒不安定が病気と知らず一人で悩んでしまう方が多いですが、抱え込まずにまずは相談してください。
子宮の内側は子宮内膜という組織で覆われています。子宮内膜は受精卵を着床しやすくするために、少しずつ厚くなりフワフワのベッドのような状態になります。厚くなった子宮内膜は、受精卵が着床しなかった場合には、排卵後約2週間で剥がれ落ち、子宮口から出血として排出されます。この出血が月経です。剥がれて薄くなった内膜は、次の排卵に向けてまた厚くなり、妊娠が成立しなかったらまた剥がれ落ちるというサイクルを毎月繰り返しているのです。
月経の始まった日から次の月経の開始日前日までの日数を月経周期といいます。正常な範囲は25日〜38日であり、月経持続期間は3日〜7日です。
月経の周期が乱れたり、月経が長期間来なかったりすることを月経不順といいます。月経周期を覚えていないという方もいらっしゃいますが、月経周期の乱れには妊娠の可能性や治療すべき病気が原因のこともあるので、まずは自分の月経周期を把握することから始めましょう。
月経が遅れている場合、まさかとは思っても避妊に失敗している可能性もあり得るため検査薬で調べてみましょう。可能性が全くない場合は1回だけ遅れているようであれば少し様子を見ても構いませんが2ヶ月以上遅れているようであれば一度受診をしましょう。
妊娠以外で月経が遅れる場合、多くはホルモンバランスの乱れによっておこります。人間関係のストレスや体重の増減、不規則な生活が原因でホルモンバランスに乱れを来たすことがあります。それ以外に甲状腺ホルモンやプロラクチン(下垂体ホルモン)などの分泌異常も月経不順をきたすことがあるためホルモン値を測定することが重要です。
また胃薬や抗うつ薬などの一部の薬は月経周期に影響を及ぼすことがあります。
年齢や月経不順の原因によって治療法は様々です。まずは診察やホルモン値の採血などを行い、原因を明らかにしていきます。その上で月経不順の程度や妊娠の希望など、それぞれのライフスタイルに合った治療法を提案していきますのでお気軽にご相談ください。
他の人と比べて月経血の量が多いか少ないかというのはわかりにくいものです。一般的には1周期の総経血量は20〜140mlといわれています。昼でも夜用のナプキンを必要とする日が3日以上あったり、普通のナプキンでは1時間もたない、経血にレバーのような大きな塊が混じっている、日数が7日を超えて持続するなどの症状がある場合は月経血の量が人より多い可能性が高いです。
月経血が多いことを過多月経といい、放置していると貧血が進行していき、息切れや動悸、頭痛や立ちくらみといった症状が出現してきます。
過多月経の原因にはホルモンの状態が影響していることもありますが、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮体がんなどの病気が影響していることがしばしばあります。
過多月経は生活の質を低くしてしまうだけでなく、放置すると貧血が進行してしまうため治療や定期的な通院が必要となります。
治療法は大きく薬物療法と手術療法に分けられます。年齢や妊娠の希望、貧血の程度によって治療法は様々であるため、相談して治療法を決定していきましょう。手術が必要な場合は適切な総合病院をご紹介させていただきます。
月経痛(生理痛)がひどくて学校や仕事を休んだり、起き上がることができなかったりするなどの日常生活に支障をきたすほどひどいものを「月経困難症」といい、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症といった病気が隠れていることがあります。
月経痛でも下腹部痛だけでなく腰痛や背中の痛み、頭痛や吐き気、発熱や寒気を感じたりなど様々な症状があります。
子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症といった病気が原因となる器質性月経困難症と、特に原因となる病気はない機能性月経困難症があります。
機能性であった場合は年齢を重ねると月経痛が弱くなっていくことが多いですが、器質性月経困難症であった場合、徐々に症状が増悪してくることが多いため、早めに治療を開始していくことが必要です。
月経痛の原因や症状をきちんと把握して、元気に過ごすことができる日を増やせるようにしていきましょう。
70%以上の女性が月経の前になると何らかの身体的・精神的な不調を抱えており、日常生活にまで支障をきたすこともあります。個人差はありますが月経前、3〜10日前くらいから症状が現れ、月経が始まるとともに軽くなり消失するのが特徴です。
身体的な症状としては、乳房の痛み、お腹の張り、便秘、腰痛、頭痛、手足のむくみ、肌が荒れるなどがあります。
精神的な症状としては気分の落ち込みや不安、イライラ、興味の低下、集中力の低下、情緒不安定、自己喪失感などがあります。
月経前に不調を生じる状態を月経前症候群(PMS)といい、特に精神的な症状が強く出ている場合を月経前不快気分障害(PMDD)といいます。
周囲の理解を得られず苦しまれている方が非常に多いのですが、これらは我慢すべき症状ではなく、治療の対象となる病気です。一人で抱えこまずに、まずは相談してください。
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)の発症には、生理前に増加する女性ホルモン、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響が指摘されていますが、はっきりとした原因は解明されていません。もう一つの女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)とのバランス異常という説もあります。しかし、女性ホルモンの影響だけではなく様々なストレスや生活環境など多くの要因から起こると考えられています。
まずは自分の症状と向き合い、病気によるものであると気づくことからはじめましょう。不調の原因を知ることだけでも気持ちが軽くなることもあります。月経周期と症状の日記などをつけることであなたのための対処法がわかることがありますので、症状をメモしてみるのもいいでしょう。
また女性ホルモンの変動があることがそもそも原因なので、低用量ピルを内服することで症状が改善することが多いです。強い精神神経症状や自律神経症状に対しては、抗不安薬や抗うつ薬などを一時的に併用したりします。また、漢方薬が非常に有効な場合もあります。症状や程度に合わせて治療法を相談していきましょう。